山と法的責任
この本では山で起こりうる遭難についてのいろんな法的解釈がまとめてあります。
中でもリーダーの法的な責任*1についてのお話が有用でした。
- 作者: 溝手康史
- 出版社/メーカー: 東京新聞出版局
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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グループで登山を行っていると
登山中、メンバーになにかあった場合の
リーダーとそれに準ずる者の道義的、法的責任について
いやでも考えないといけないことになります。
例えば僕がCLをが担った時に万が一何かあった場合を考えます。
遺族(又は本人)が裁判を起こすことになれば
僕がメンバーに流したメーリングリストの内容にはじまり
事前の天気(積雪)等のリサーチ、
登山届に書いてある装備の確認、
現地での一つ一つの判断、指示までにその過失を追求されることになるでしょう。
また一般的にはこちらとしては引率ではない同好会として山行を行っているつもりでも
対象が経験の浅い人であればリーダーに(法的)責任が追求されるといいます。
ただ、ここで大切なのは
「法的に責任が無い」=「最善」
というわけではないし、こういった本を読むことによって
遭難のリスクを避けるために具体的に
「事前に、何に対して気をつけなければならないか」
を考えることなのだと思います。
今回僕は雪山のCLなのですが募集のメーリングリストで
・雪山初めての方で参加したい方
用具などは不参加のメンバーから借りるなど調整したいと思います。
また必要であれば登山前にアイゼンの使い方など基本事項のプチ講習も考えていますので
まずは参加表明してみてください。
と書いていますが実際に初心者が来た場合、
・危険の少ない初心者向けの山を選ぶ
(標高、斜度、積雪、山小屋の有無など)
・服装を始めとする持参用具の確認
・用具の使用法講習を行う
(アイゼン、ピッケル)
などを考える必要があるのでしょう。
楽しく登山をしようと思うと必ずついてくる問題です。
背筋が伸びる思いになります。
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読書メモ
■危険があるところに乗り込むという前提が都会と違う
→そこに乗り込んで遭難するのはすでに「判断ミス」をおかしていると判断できる。
そういう意味では全てが人為的ミス=責任発生ともとれる。
■予見可能性と結果回避義務(注意義務)
→事故が起こりうるという予見が可能であったか?
→またその結果を回避する義務はだれにあるのか?
■ほかのスポーツのようにルールのない登山
→「あらかじめ」了解した危険の範囲では自己責任
■自己責任の範囲
メンバー構成による責任のあり方
→注意義務の内容(民事は一般人の予見可能性に基づく)
・学校引率登山(教師→生徒の指示命令関係により責任大)
・ツアー登山(ガイドに注意義務あり。責任の発生が高い)
・同好会登山(危険を回避する措置は各人の自己責任)
→ただし初心者等で自律的判断が期待できない者である場合には、
リーダーにメンバーの安全を確保する法律上の注意義務が発生する。