その15 痛快!憲法学
昔読んだ本を最近読み直してて
「憲法は国民への命令ではなく国家への命令だ」
っていうくだりが出てきて、
そうやったけ?憲法は法律の親玉みたいなもんちゃうかったけ?
という認識。(一度読んだ中身覚えてないorz)、
これはヤバイ、基本的なことを知ろうと思って読み始めた本。
痛快!憲法学―Amazing study of constitutions & democracy
- 作者: 小室直樹
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2001/04
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (49件) を見る
対話式やし、憲法以外のことも書いてそうで読みやすいかな、と思って
選んだはいいが実際、あまりにも奥深い。深すぎる。
ケインズとかヒトラーとか十字軍とかモーゼとか言ってんの。
あれ?憲法の本じゃなかったけ。。
結局「今の日本の憲法」を考えようと思うと
「憲法」自体が出来上るに至った価値観や当時の考え方(主にキリスト教宗教観)、
そして切り離すことの出来ない人権、社会契約、民主主義、資本主義の成り立ちとどんどん
話が広がっていく。
そして全てはみごとにつながっている。
(特にカルヴァンの予定説とジョン・ロックの社会契約説は圧巻。
伊藤博文もすごい奴だわ)
- -
今とは価値観がちがう、ある時代の社会状況において
新しい人が現れ、新しい考え方を示し、それに社会がついていく。
そんな中で何度も行きつ戻りつして議会制や民主主義や資本主義は作り上げられた。
憲法も例外じゃない。
さすればその社会状況や背後関係を知らずに、まったく土壌の違う
今の日本へ持ち込まれた憲法の文言だけ見ていても
答えはとんちんかんなものになってしまう。
「人権」っていう言葉一つとってもそうだし。
歴史が作り上げた憲法は歴史に基づいてこそ
はじめて真意がわかる。
具体的な内容を書き出したらきりがないので
きになればよんでみてください。
個人的にはこれで1700円でいいんですか?って聞きたくなるくらいです。
「議会や憲法と民主主義は本質的に無関係」とか
「少年法改正時に叫ばれた『少年の人権』なんてものはないありえない」とか
「伊藤博文はキリスト教の神の代わりとして天皇を選び、日本に憲法を持ち込んだ」とか
目から鱗がかなり落ちまくりました。
憲法に限らず、これら歴史に基づいた宗教観、経済観、社会観で物事を見ることで
いまの裁判制度、政治家のマニュフェスト、自身の選挙への態度、消費税、談合、少年事件、
年金、人権、天皇制等々その全ての見方がごろりと変ってしまう。
(小室さんのようにこれらのひずみの原因が「すべて憲法にある」とはおもわないけど)
そしてごろりと変ってからどの考えを自分が正しいと思うのか
判断していくようになるところにこの本の価値が現れてるんだと思う。
冒頭、小室さんはこう書いてる
「学問とは本来、それぞれの人間が自分の意見をもつための『材料』、
言い換えれば議論の前提となるものを提供するためにあるのです。」
この本は学問です。
答えは書いていません。